昔から「子はかすがい」と言うくらい、夫婦にとって子供の存在は大きなもの。離婚の協議を始めたとしても、子供がいるから関係を壊さないでおくケースもよくあります。
ですが万が一離婚してしまったら、子供と会えなくなってしまうのでしょうか。
中高年の再婚で悩みがちなのが、子供の問題。特に中年の場合、子供がまだ多感な年齢であることも多く、問題はデリケートになります。
子供が成人していたら、再婚しても本人の自由で交流を持つことも可能ですが、まだ未成年の場合、子供の意志だけでは面会出来ないこともあります。
面会する権利についてまとめました。
自分や元嫁が再婚したら子供に会えない?
離婚後に別の相手と再婚した場合、元嫁や元夫の子供と会えなくなるわけではありません。
親が子供に会う権利として「面接交渉権」があります。これは、別れた親が、離れて暮らす子供に会う権利として認められているものです。
たとえ離れ離れに暮らしていても、親子であることには変わりがありません。離れて暮らす親が子供に会いたいと思うのは自然な感情ですし、それを咎めることは誰にも出来ません。
また別れた後でも子供との絆を保とうとする行為は、子供からしても「親が自分を見捨てたわけではない」と感じられることですから、子供が成長していく過程でも大切なことなのです。
そんな当然の権利として認められている「面会交渉権」ですが、会うことで子供の福祉に反する場合は、認められないこともあります。
例えば虐待によって離婚した場合など。子供の発育に悪影響があると判断されると、会うことが出来なくなるケースがあります。
それ以外は、再婚しても基本的には子供と会えなくなることはありません。
これは会わせたくない。面会が子供にとってマイナスになるケースとは
基本的に「面会交流」は、勝手に放棄することが出来ません。子供にとっては、どちらも親であることには変わりがないため、引き取った親は、離れた親と子供を面会させる義務がりあります。故意に会わせないようにすると、調停を申し立てられてしまうことも。
交流を拒否する場合は、きちんとした理由と共に、いかに子供にとって悪影響があるかを裁判所に伝えなくてはなりません。感情論だけでは、子供を守れないので、注意しましょう。
面会が子供にとって、いかにマイナスになるかを、きちんと提示し手続きを取り、子供を守るようにしましょう。
DV(暴力)がある
暴力を振るわれていた場合は、面会を制限する大きな理由に当たります。
面会を制限する申し立てで、大きな影響力を持つ「DV防止法」というものがあります。これは、身体的暴力をふるわれ、生命に対する脅迫を受けた被害者が、配偶者と会わないように「保護命令」を申し立てる仕組みのこと。
裁判所が「保護命令」の申立てを受け、被害者が身体または生命に重大な危害を受ける可能性があると判断した場合発令します。これは下記の命令の総称で、
1. 被害者への接近禁止命令
2. 退去命令
3. 被害者の子または親族等への接近禁止命令
4. 電話等禁止命令
の4つの項目から成り立っています。面会交流が親にとって、当然の権利であったとしても、状況によってはこれを禁止することが可能になる命令です。
例えば、暴力に子供が怯えていて会いたがらない、重大なケガを負った、精神的に疲弊し通院を余儀無くされているなど、きちんとした証拠を持って、申し立てしましょう。
子供が拒絶反応をする
暴力を振るわれていなくても、子供が会いたがらずに拒絶反応を起こす場合もあります。一緒に暮らしていても、浮気や家庭を顧みず、親子関係が崩壊していたら、子供にとってはただ家に居る大人なだけ。それなのに、離れて暮らしてからも面会しなくてはならないとなると、ストレスになってしまう可能性も。
子供が拒絶反応を起こして居る場合、面会によって今後の子供の成長を妨げる可能性などを、きちんと主張してください。無理に面会させず、子供が会いたいと思うようになるのを待ちましょう。
再婚をきっかけに子供に会わせたくないと思う心理
再婚が絡むと、親自身も子供に会いたくない、会わせたくない……そんな気持ちになってしまうことがあります。大好きな子供なのに、どうしてでしょうか。
嫉妬心やショック
別れた相手が再婚すると聞いて、モヤモヤした気持ちになることがあります。その気持ちから、親権を持っている場合、もう子供に会わせたくない…そう思ってしまうことも。
嫌いで別れたわけではない場合、復縁の望みが心の片隅にあります。相手が再婚することで、復縁の可能性が断たれてしまうため、そのショックから嫉妬心が芽生えてしまうでしょう。
相手が再婚する場合、子供がもし再婚相手の家庭を気に入ってしまったら? そんな不安もよぎり、子供に会わせたくないと思ってしまうかもしれません。また、別れて自分よりも先に幸せになる嫉妬や、取り残されたような悲しさから、子供だけは自分のものだと独占欲もわきます。
別れたとしても、一度は愛しあって夫婦になった期間があるので、何らかの執着があってもおかしくはありません。その場合、もう愛情がないにしても、嫉妬心のようなモヤモヤした気持ちになることがあります。
頼れなくなってしまうから
相手が再婚することで、頼りにしていた部分を失ってしまうという不安が、素直に再婚を喜べなくなる要因として考えられます。例えば、今まで受けていた経済的な支援や、家事などの世話をして貰えなくなってしまうこと。子供が遠慮して、パパ・ママと呼べなくなってしまうかもしれないこと。
そういった不安から、モヤモヤとした気持ちになり、もうパパじゃないから、と子供に会わせたくなくなることがあります。
早く慣れて欲しい思いから
もし自分が再婚する場合、子供に早く新しい再婚相手に慣れて欲しいと言う思いから、会わせたくないと思うことがあります。新しい再婚相手と子供がうまく行かず、離れて暮らす親の方に行きたがってしまうかもしれない、という不安からくる心理でしょう。
これらの理由では、子供の面会を制限するわけにはいきません。子供のためにも、寛容な心でいるように努力をしましょう。
再婚した際の養育費について
再婚した場合、子供の養育費はどうなるのでしょう。この経済的な不安も、子供の面会交流を左右する大きな要因になります。
養育費を支払う側が再婚した場合
もし自分が親権を持っていて、相手から養育費を貰っていた場合をみてみましょう。もし相手が再婚した場合、子供の養育費はどうなるのでしょうか? シングルで子供を育てている場合、特に不安な点になります。
もし養育費を払っている方が再婚しても、基本的に支払いの義務はなくなりません。法律上、子供の福祉は最優先事項になっています。再婚しようが、子供への扶養の義務がなくなるわけではありません。子供が一人前になるまでは支払われるべきものです。
しかしながら再婚相手との間に子供ができたり、仕事の都合などで、家庭の生活水準が下がってくると話が変わってきます。養育費の減額申請をされる可能性や、支払いたくないと逃げられてしまうことも少なくはありません。
養育費を受け取る側が再婚した場合
では、自分が養育費を支払っていて、相手が再婚した場合はどうでしょう。
結論から言うと、基本的に養育費を支払う義務がなくなることはありません。再婚した側が、子供と養子縁組をしなければ、再婚相手に対して養育義務を課せることは出来ません。
現代的な考え方は「ひとりの人を愛して、一緒に暮らしたい。だから結婚をする。でも子どもの養育は考えていないし、親にはなれない。」と言う人が多くなっています。事実法律的にも、再婚相手に連れ子の養育義務はありません。養子縁組をしてはじめて実子と同じ立場になります。
それではあんまりだ、と思うかもしれません。しかし、法律には
「扶養にかかる協議または審判があった後事情の変更が生じた時は、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることが出来る」
という条文があります。
「事情の変更」とはどういうことでしょうか。これにはいくつかありますが「相手の再婚」も該当します。
ただし、相手が再婚しても、それだけで養育費が減免されるわけではありません。養育費の減免が受理されるケースは、再婚相手が子供と養子縁組をし、十分な経済力がある場合に限られます。
もし、再婚相手に経済力がなければ、養育費を払い続けなければなりません。最悪のパターンとして、再婚相手が養子縁組をしたにも関わらず、子供を養うだけの収入がない場合、「第二次的扶養義務者」として、今まで通り養育費を支払わなくてはなりません。
子供も取られた上、養育費も取られ続けるという悲しい法律が現状です。子供をもうけるというのは、これほど大きな責任を伴うのです。
再婚をきっかけに子供に会いたくないと思う心理
子供に会わせたくない、という気持ちについて考えてきましたが、残念なことに子供に会いたくないと思う相手側も存在します。
思春期の子供を持っていれば、そのことを子供に伝えるのはなかなか勇気がいることです。ここでは口コミサイトから、シングルマザー・ファザーの悩みをみて行きましょう。
シングルマザーと再婚した場合
シングルマザーの場合、よほど特殊な能力を持っていないと、貧困になりやすいのが現状です。もしも専業主婦で離婚した場合、パートナーが居たほうが心も生活も安定するので、素敵な相手が現れたら再婚して幸せになることがイチバン。
しかし子供の心を考えて、なかなか踏み出せないことがあるのも事実。ですが、再婚しても元の父親との面会は出来ます。子供が望むのであれば、面会交流を続けて行きましょう。多感な子供ができるだけ、両親の愛情を感じられ、なおかつ再婚相手の新しいお父さんにも愛情を感じることが理想。疎外感を与えないように、最新の注意を払いましょう。
子供に会いたがらなくなる元夫
残念なことに、元夫が再婚する場合、子供ともう会わないと言い出されるケースが多くみられます。口コミサイトを見てみると、この手の悩みが続々と寄せられているのが真実です。
別れた旦那が「再婚するから子供に会わない連絡しないで」と言われ、子供に「パパにもう会えないよ」って伝えたら泣いてしまいました。
「何でパパはもう会えないの?僕が嫌いだから会いに来ないの?」と言われました。
今まで通りとはいいませんが、なんとかたまには遊んで欲しいと連絡しました。しかし電話も何もかも無視をされています。
元夫からすると、新しい家庭で新しい奥さんが新しく子供を産めば、新しい家庭が築けます。自分はお腹を痛めるわけではないので、次の家庭があれば忘れられる男性も多く居ます。そんな男を選んだことを後悔し、次の再婚相手は情のある男性を選びましょうね。
面会義務はあるものの、会いたくないと言う父親といやいや会わせても、子供のためにはなりません。
シングルマザーですが、今度元旦那が再婚するに当たり、相手の女性からの条件で、過去にけじめをつけてと言われもう子供と会わないと突然言い出しました。更に無神経にもそう子供に伝えてしまっていました。
再婚相手の嫉妬はある程度覚悟しておいた方がいいでしょう。大好きな旦那が元奥さんの子供を溺愛している、会いに通っている、と聞いて複雑な気持ちになってしまうのは仕方のないこと。
しかし、会わないと元旦那が決めた以上、無理やり会わせても子供が更に傷ついてしまう可能性があります。どうしても会わせたい場合、慎重に。
再婚相手に養育の義務がないことで起こりうる事態
余談ですが「再婚したら子供の養育費はどうなる?」でお話した通り、養子縁組をしなければ、再婚相手に養育義務は課せられません。したがって相手が子供の養育費用を一切手伝わない、ということも考えられます。
共働きの再婚です。自分の稼いだお金を、私の子供のために使う必要がない夫は、毎日のように職場の同僚と飲み遊び、時には私と子供を置いて、昔の仲間と旅行に行きます。
私も会社員で働いていますが、子供の学校の費用を捻出するため、そんな余裕はありません。友達とのランチやお茶どころか、ひたすら働き続けています。
「私の子なのだから仕方ないけれど、これが再婚じゃなければ、こんなことにはならなかった」と、思わずにいられません。大学の費用が恐怖です。
極端な話ではありますが、こういったケースがあるのも事実。再婚する場合には、相手の理解が必要不可欠になります。
シングルファザーの再婚
シングルファザーの場合、母親が居ないことで子供が不安定になりやすくなります。そのことから、子供と面会させない方がいいのでは…と思うこともあるかもしれません。しかし、子供が会いたがってしるのであれば、子供の気持ちを優先させてあげましょう。
しかし子供がどんなに会いたいと思っても、元妻の側が会いたがらないことも。
子供に会いたがらなくなる元妻
お腹を痛めて産んだ我が子でも、会いたくないということがあるのも事実。そこには大人の事情が見え隠れします。例えば…
再婚相手の条件で、新しく子供をもうけて自分たちだけの家庭を大事にして欲しいと言われ、再婚後の子供との面会は控えたいと思っています。子供には申し訳ないのですが、自分の幸せのこともあるので…。
再婚相手から言われると、なかなか子供に会うことも躊躇してしまいます。もし、離婚後に苦労していたら尚更。しかし、子供は捨てられた、と思ってしまう可能性があるので、伝える場合は慎重に行動しましょう。
再婚が決まりましたが、子供が居ることを伝えていません。言うと再婚がなくなるような気がして言い出せず、このまま墓場まで持って行きたい。
再婚相手に子供が居ることを言えずに、そのままフェードアウトしてしまう元妻も少なからず存在します。子供に知れると、自分の存在を消されていたことにショックを受ける可能性も…。コンタクトを取る場合、最新の注意を払いましょう。
シングルファザーの社会的理解
シングルファザーで居ると、余程会社の理解がないと、子供を大学まで行かせるほどの経済力を維持するのが難しくなってきます。
いくら男女平等とは言っても、女が家庭で男は仕事という会社の風潮があることも事実。急に起こる子供の対応を、男性の会社員がすることに会社側に理解がないこともあるのです。
子供に時間を割かれる為、肩書きを外され給与を減額されることもあります。そうなると、男性でも貧困に陥ってしまう可能性が…。ある程度、家庭を支えてくれる女性と再婚することは、子供の幸せにも繋がります。
もちろん子供が相手の女性に懐いていること、相手の女性も子供のことに理解を示していることが必須条件にはなりますが…。
子供の気持ちと幸せを考える
再婚が絡むと、大人の様々な感情により、面会をさせたくない、したくないという気持ちになることもあるでしょう。ですが、一番大切なことは、子供の気持ちを優先して考えること。
大好きな両親の別れは、子供にとって大きなダメージ。子供の今後の成長のためにも、まずは会いたい気持ちを優先してあげてくださいね。
面会を許されている側は、会えることに心から感謝しましょう。子供の成長は、長いようで一瞬です。その一瞬を見られる喜びを忘れずに。